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陶芸技法:蛍手(ほたるで)

 蛍手(ほたるで) は器面に小さな穴を開けて透かし彫り*1をした後、小穴に釉薬(ゆうやく)*2を充填して焼成する技法のことです。

 

透かし彫り*1は器面をくりぬいて装飾する技法で歴史は古く、1万年以上前の縄文時代では、縄文土器の器面にくり抜き模様がみられます。

釉薬*2とはガラス質の液体で、「うわぐすり」ともいいます。

 

蛍手は透かし彫りを応用・発展させた技法で、視覚的に美しく、光をかざすと透かし彫りのところが部分的に明るく透き通って見えます。この様子を蛍の光に例えたのが名の由来です。 日本では有田焼の磁器によく見られますが、磁器は透光性があり、光を活かす蛍手の技法とマッチします。

 

使用方法としては、素焼きした生地の表面に釉薬を塗り、本焼成します。 釉薬は高温で溶けて、陶磁器の表面でガラス質になります。釉薬処理した陶磁器は素焼きの器よりも高強度が丈夫であり、耐水性があり、汚れにくくなります。 焼き方にも還元と酸化の二通りがあります。 空気を抜いて、ガスを入れて温度を上げるのが還元、ガスを止めて酸素を送り込んで温度を上げるのが酸化。生地と釉薬の条件は同じでも、還元すると白くなり、酸化はクリーム色(淡黄色)が強くなります。ちなみに有田焼は還元型の白地の磁器です。